連絡が取れない相続人がいる場合、相続手続きはどう進める?

query_builder 2026/09/29
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相続が発生したものの、

「相続人の一人と何年も連絡を取っていない」

「住所は分かるが連絡に応じてもらえない」

「戸籍を調べて初めて存在を知った相続人がいる」

「現在どこに住んでいるのか分からない」

といった問題が生じることがあります。


相続人の中に連絡が取れない人がいる場合、他の相続人だけで自由に遺産分割を進めることはできません。


特に、不動産の相続登記を行うために遺産分割協議が必要なケースでは、原則として相続人全員による協議が必要です。

そのため、「連絡が取れないから除外して手続きを進める」という対応はできません。


ただし、「連絡が取れない」といっても、住所が分かっているものの返事がない場合と、現在の所在そのものが分からない場合では対応方法が異なります。


今回は、連絡が取れない相続人がいる場合に、どのような順番で相続手続きを進めればよいのか、戸籍や住所の確認から、所在不明の場合に検討される家庭裁判所の手続き、相続登記との関係まで分かりやすく解説します。



まず「誰が相続人なのか」を正確に確認する


連絡が取れない相続人がいる場合、まず行うべきことは相続人の確定です。


家族の中では「相続人はこの3人」と分かっているつもりでも、法律上の相続人を正確に確認するためには戸籍を調査する必要があります。

例えば、亡くなった方に前の配偶者との間の子どもがいた場合、その子どもも相続人になる可能性があります。


また、子どもの一人が被相続人より先に亡くなっている場合には、その子どもの子、つまり被相続人から見た孫が代襲相続人となることがあります。


兄弟姉妹が相続人となるケースでは、さらに戸籍調査が広範囲になることもあります。


「連絡を取ったことがない人だから相続人ではない」

ということにはなりません。


相続手続きを始める際には、亡くなった方の戸籍関係書類などを確認し、まず法律上の相続人が誰なのかを正確に整理することが重要です。



連絡が取れない相続人を除外して遺産分割協議はできません


遺言書などによって遺産の取得者が定められていない場合、相続人同士で遺産分割協議を行うことがあります。


遺産分割協議は、原則として相続人全員が参加して行います。

例えば、相続人が長男、次男、長女の3人いる場合に、長女と連絡が取れないからといって、長男と次男だけで、

「実家は長男が相続する」

「預貯金は次男が相続する」

と決めても、相続人全員による遺産分割協議とはなりません。


連絡が取れない相続人にも相続する権利があります。

家族と長期間疎遠になっていたことや、亡くなった方と交流がなかったことだけを理由に、その人を相続手続きから除外することはできません。


この点は、相続手続きを進めるうえで非常に重要です。



「連絡が取れない」と「所在が分からない」は分けて考える


相続人と連絡が取れない場合には、まず状況を整理しましょう。

大きく分けると、

「住所は分かっているが連絡に応じてもらえない」

ケースと、

「現在どこに住んでいるのか分からない」

ケースがあります。

この2つは同じではありません。


住所が分かっているものの電話やメールに返事がない場合には、まず書面を送るなどして連絡を試みる方法があります。


一方、現在の住所そのものが分からない場合には、戸籍などをたどって現在の所在を確認する作業から始める必要があります。


最初から「不在者財産管理人を申し立てればよい」と判断するのではなく、まずその相続人の現在の状況を確認することが大切です。



戸籍の附票などから住所を確認できる場合があります


相続人の現在の住所が分からない場合には、戸籍関係書類などを利用して所在を確認できることがあります。


代表的なものが戸籍の附票です。


戸籍の附票には、その戸籍に在籍している間の住所履歴が記録されています。

相続手続きに必要な範囲で戸籍や戸籍の附票などを取得し、相続人の現在の住所を調査することがあります。

ただし、住所が確認できたからといって、必ず本人と連絡が取れるとは限りません。


すでにその住所に住んでいなかったり、書面を送っても返答がなかったりする場合もあります。


そのため、

「住所が分からない」

「住所は判明したが連絡が取れない」

「長期間、所在が確認できない」

という段階を分けて考える必要があります。



住所が分かっていても返事がない場合はどうする?


住所が確認できているにもかかわらず、電話やメールに応答がない場合には、まず遺産分割協議への参加を求める書面を送ることなどが考えられます。


最初から強い表現で相手に対応を求めるよりも、

誰が亡くなったのか
自分が相続人であること
どのような相続財産があるのか
遺産分割について話し合いたいこと

などを整理して伝えることが大切です。


長年疎遠だった相続人の場合、突然「相続の書類に印鑑を押してください」とだけ連絡すると、不信感を持たれることがあります。

相続財産や手続きの状況を説明したうえで、協議への参加を求めることが重要です。

それでも話し合いができない場合には、家庭裁判所での遺産分割調停などを検討するケースもあります。


司法書士は遺産分割について当事者の代理人として交渉することはできませんが、相続登記に必要な戸籍収集や登記手続き、一定の裁判所提出書類の作成など、それぞれの業務範囲で相続手続きを支援することができます。


相続人同士で紛争になっている場合には、必要に応じて弁護士への相談が適切なケースもあります。


本当に所在が分からない場合はどうする?

戸籍や住所関係の資料を確認しても、相続人が現在どこにいるのか分からないことがあります。


例えば、

長期間家族と連絡を取っていない
住民登録上の住所に居住していない
郵便物が戻ってくる
親族も現在の居場所を知らない

といったケースです。


このような場合、一定の要件を満たせば「不在者財産管理人」の選任を家庭裁判所へ申し立てる方法が検討されることがあります。

ただし、単に電話に出ない、手紙に返事をしないというだけで直ちに不在者財産管理人を利用する制度ではありません。


その人が従来の住所や居所を離れ、容易に戻る見込みがないなど、具体的な状況を確認したうえで判断する必要があります。



不在者財産管理人とは?


不在者財産管理人とは、所在が分からない人の財産を管理するため、家庭裁判所によって選任される人です。


相続人の一人が所在不明で遺産分割協議を進められない場合、不在者財産管理人を選任し、その管理人が所在不明の相続人に代わって必要な手続きに関与することがあります。


ただし、不在者財産管理人が選任されたからといって、自由に遺産分割の内容を決められるわけではありません。


遺産分割協議を行うことが財産の保存行為などの範囲を超える場合には、家庭裁判所から権限外行為について許可を得る必要が生じることがあります。


そのため、

「相続人が見つからない」

↓

「不在者財産管理人を選任」

↓

「すぐに遺産分割が終了」

という単純な手続きではありません。


家庭裁判所での手続きを含め、一定の時間を要することがあります。

相続登記や不動産売却を予定している場合には、余裕を持って対応することが大切です。



長期間、生死も分からない場合には失踪宣告が問題になることもあります


相続人が非常に長期間行方不明で、生死そのものが分からない場合には、状況によって失踪宣告という制度が検討されることもあります。

失踪宣告は、一定期間生死が明らかでない人について、家庭裁判所の手続きにより法律上死亡したものとみなす制度です。


一般的な普通失踪では、原則として7年間生死が明らかでないことなどが要件となります。

ただし、失踪宣告は相続手続きを簡単にするためだけの制度ではありません。

その人について死亡したものとみなされるという重大な法的効果が生じるため、単に「連絡が取れない」という理由だけで利用するものではありません。


不在者財産管理人が適しているのか、失踪宣告を検討すべき状況なのかは、所在不明となっている期間や具体的な事情によって異なります。



連絡が取れない相続人がいても相続登記の期限には注意


相続人の一人と連絡が取れない場合でも、相続登記の義務化について意識する必要があります。


2024年4月1日から相続登記が義務化され、相続によって不動産の所有権を取得したことを知った場合には、原則としてそのことを知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。


しかし、相続人と連絡が取れず遺産分割協議がまとまらない場合には、

「誰が不動産を取得するか決められないので相続登記ができない」

ということもあります。

このような場合に利用を検討できる制度の一つが、相続人申告登記です。



遺産分割がまとまらない場合の相続人申告登記


相続人申告登記は、相続登記の申請義務を簡易に履行するための制度です。


登記簿上の所有者について相続が開始したことと、自分がその相続人であることを申し出ることで、申出をした相続人について相続登記の申請義務を履行したものとして扱われます。


連絡が取れない相続人がいるために期限までに遺産分割が成立しない場合でも、状況によっては相続人申告登記を利用することで、自分の申請義務に対応する方法があります。


ただし、相続人申告登記を行っても、誰が最終的に不動産を取得するのかが決まるわけではありません。


その後、遺産分割が成立して不動産を取得する人が決まった場合には、原則として遺産分割成立の日から3年以内に、その内容に基づく相続登記を行う必要があります。


相続人申告登記は、遺産分割そのものを解決する制度ではない点に注意しましょう。



遺言書がある場合には手続きが変わることがあります


相続人の一人と連絡が取れない場合でも、有効な遺言書があるかどうかによって必要な手続きが変わることがあります。


例えば、遺言書によって特定の不動産を特定の相続人に相続させる内容が定められている場合、必ずしも相続人全員で遺産分割協議を行う必要があるとは限りません。


反対に、遺言書がなく、法定相続分とは異なる方法で不動産を相続したい場合には、相続人全員による遺産分割協議が必要になることがあります。


そのため、連絡が取れない相続人がいることが分かった場合にも、まず遺言書の有無を確認することが重要です。


遺言書の内容によっては、手続きの進め方が大きく変わる可能性があります。


相続人が海外に住んでいる場合は「所在不明」とは限りません


相続人が海外へ移住している場合にも、

「日本の住所がないので連絡が取れない」

という相談につながることがあります。


しかし、海外に住んでいることと所在不明であることは別です。


居住先や連絡先が確認でき、本人が手続きに協力できるのであれば、海外在住の相続人を含めて相続手続きを進めることは可能です。


ただし、日本国内に住んでいる相続人とは必要書類が異なる場合があります。

印鑑証明書を取得できない場合などには、居住国の制度に応じた署名証明などを使用することがあります。


海外在住の相続人がいる場合には、早い段階で必要書類や手続き方法を確認しておくと安心です。



相続人同士で連絡が取れているうちに進めることも大切


相続登記を長期間行わないままにしていると、次の相続が発生する可能性があります。


例えば、父親が亡くなったときに子ども3人が相続人だったものの、不動産の相続登記をしないまま年月が経過し、そのうち一人が亡くなったとします。

その場合、その相続人の配偶者や子どもなどが新たに関係することがあります。


当初は3人だけで話し合えばよかったものが、時間の経過によって5人、6人と関係者が増えることもあります。

さらに、世代が変わるほど相続人同士が面識を持っていない可能性も高くなります。


「知らない親族へ突然連絡しなければならない」という状況をできるだけ避けるためにも、相続が発生した段階で登記や遺産分割を整理しておくことが大切です。



相続人への連絡は慎重に行いましょう


長年疎遠だった相続人へ連絡するときは、相手の立場にも配慮する必要があります。


突然知らない親族から連絡があり、

「あなたは相続人なのでこの書類に印鑑を押してください」

と言われれば、不安に感じるのも自然です。


特に、相続には預貯金などのプラスの財産だけではなく、債務などが関係する可能性もあります。


まずは、

誰についての相続なのか
なぜ連絡したのか
どのような財産が確認されているのか
どのような手続きを予定しているのか

などを分かりやすく説明することが重要です。


相続手続きを急ぐあまり、相手に十分な説明をしないまま署名や押印を求めると、かえって話し合いが進みにくくなることがあります。



司法書士へ相談できること


連絡が取れない相続人がいるケースでは、まず戸籍などから相続関係を整理し、不動産の登記状況を確認することが重要です。


司法書士には、

相続人を確認するための戸籍収集
相続関係の整理
不動産の登記状況の確認
相続登記の申請
相続人申告登記
法定相続情報一覧図に関する手続き
一定の家庭裁判所提出書類の作成

などについて相談することができます。


一方、相続人同士で争いが発生している場合や、相手方との交渉そのものが必要な場合には、司法書士が代理して遺産分割交渉を行うことはできません。


紛争性があるケースでは、弁護士への相談が必要になる場合があります。

相続について「どこへ相談すればよいか分からない」という場合も、まず現在の状況を整理することから始めましょう。



枚方市・京田辺市・松井山手周辺で相続人と連絡が取れずお困りの方へ


枚方市や京田辺市、松井山手周辺でも、相続をきっかけに長年連絡を取っていなかった親族の存在が分かることがあります。

特に、

昔から親族間の交流が少ない
兄弟姉妹が遠方へ転居している
相続登記を何十年も行っていない
祖父母名義の土地が残っている

といった場合には、現在の相続人を確認するだけでも時間がかかることがあります。


相続人の一人と連絡が取れないからといって、すぐに相続手続きができなくなるわけではありません。


まずは相続人を正確に確認し、現在の住所が分かるのか、所在そのものが不明なのかを整理することが大切です。


野島一美司法書士事務所では、枚方市・京田辺市・松井山手を中心に、相続登記や不動産名義変更、相続関係の確認などのご相談に対応しています。


何年も連絡を取っていない相続人がいる場合や、古い相続登記が残っている場合も、現在の状況を確認するところからご相談いただけます。



よくある質問


Q. 相続人の一人と連絡が取れません。その人を除いて遺産分割できますか?


原則としてできません。

遺産分割協議は相続人全員で行う必要があります。連絡が取れない、疎遠であるという理由だけで相続人を除外して協議を成立させることはできません。


Q. 相続人の住所が分からない場合はどうすればよいですか?


戸籍関係書類や戸籍の附票などから現在の住所を確認できる場合があります。

まず相続人を特定し、所在を確認するところから進めます。


Q. 手紙を送っても返事がない場合、不在者財産管理人を申し立てるのですか?


必ずしもそうではありません。

不在者財産管理人は、その人の所在が分からない場合などに検討される制度です。

住所が分かっているものの協議に応じてもらえないケースとは異なります。話し合いができない場合には、遺産分割調停など別の手続きが問題になることがあります。


Q. 相続人が行方不明でも相続登記の期限はありますか?


相続登記には原則として3年の申請期限があります。

遺産分割がまとまらない場合などには、状況に応じて相続人申告登記によって申請義務を履行する方法も検討できます。


Q. 何十年も前から行方が分からない相続人がいます。


長期間生死が分からない場合には、不在者財産管理人だけでなく失踪宣告などが問題になることもあります。

ただし、必要な手続きは具体的な状況によって異なりますので、戸籍やこれまでの経緯などを確認したうえで判断する必要があります。



連絡が取れない相続人がいても、まず状況を整理することが大切です


相続人と連絡が取れない場合、すぐに「手続きができない」と判断する必要はありません。


まずは、

相続人を正確に確認する
現在の住所を調査する
連絡を試みる
遺言書の有無を確認する
相続登記の期限を確認する

という順番で現在の状況を整理します。


住所が分かっているのに話し合いができない場合と、現在の所在そのものが分からない場合では、その後に検討する手続きも異なります。

所在が分からない場合には、状況に応じて不在者財産管理人など家庭裁判所の制度を検討することがあります。


一方で、相続人同士で争いになっている場合には、弁護士への相談が必要になることもあります。


大切なのは、「連絡が取れない相続人を除外する」のではなく、その人も相続人であることを前提に、法律に沿った方法で手続きを進めることです。


枚方市・京田辺市・松井山手周辺で、連絡が取れない相続人がいる相続や、長期間そのままになっている相続登記についてお困りの場合は、野島一美司法書士事務所までご相談ください。


相続関係や不動産の登記状況を確認しながら、必要となる相続登記の手続きを整理し、それぞれの状況に応じてサポートいたします。


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野島一美司法書士事務所

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