遺言書はどの種類を選ぶ?自筆証書遺言・公正証書遺言をわかりやすく解説

query_builder 2026/10/13
ブログ画像



「遺言書を作っておいた方がよいのは分かるけれど、どの方法を選べばよいのか分からない」

「自筆証書遺言と公正証書遺言は何が違うの?」

というご相談は少なくありません。


遺言書にはいくつかの方式がありますが、実際に検討されることが多いのが「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」です。


どちらも適切に作成されれば遺言としての効力を持ちますが、作成方法、費用、保管方法、手続きのしやすさなどに違いがあります。


また、自筆証書遺言については、法務局で遺言書を保管してもらう「自筆証書遺言書保管制度」を利用する方法もあります。


今回は、自筆証書遺言と公正証書遺言の違い、それぞれのメリットと注意点、どのような場合にどちらを選びやすいのかについて、分かりやすく解説します。



遺言書を作る目的とは?


遺言書は、自分が亡くなった後の財産の承継について、自分の意思を残しておくためのものです。


遺言書がない場合、相続人が複数いるときには、相続人同士で遺産分割協議を行い、誰がどの財産を取得するかを決めることがあります。

一方、遺言書で財産の取得者や分け方を明確にしておくことで、相続発生後の手続きを進めやすくできる場合があります。


特に、

不動産を特定の相続人に引き継いでもらいたい
子どもが複数いる
再婚している
前婚の子どもがいる
相続人同士が疎遠
相続人以外の人にも財産を残したい
家族関係が複雑

といった場合には、生前に遺言書を作成する意味が大きくなることがあります。


ただし、遺言書は「書いておけば何でもよい」というものではありません。


法律で定められた方式に従って作成しなければ、形式上の問題によって有効性が争われる可能性があります。



自筆証書遺言とは?


自筆証書遺言とは、遺言者本人が自ら作成する遺言書です。


基本的には、遺言書の本文、日付、氏名を本人が自書し、押印して作成します。

財産目録については、一定の要件のもとでパソコンで作成したものや通帳のコピー、不動産の登記事項証明書の写しなどを添付する方法も認められていますが、各ページへの署名・押印など所定の要件があります。


自筆証書遺言は、公証役場へ行かなくても自分で作成できるため、比較的手軽に準備しやすい方法です。


一方で、書き方や形式に不備があると、後の相続手続きで問題になる可能性があります。



自筆証書遺言のメリット


自筆証書遺言のメリットの一つは、比較的手軽に作成できることです。


紙と筆記具などを用意すれば、自宅でも作成できます。

公正証書遺言のように公証人へ作成を依頼する必要がないため、費用を抑えて作成しやすい点も特徴です。


また、内容を変更したい場合にも、新たに遺言書を作成することで見直しやすいという面があります。


「まず遺言書を準備しておきたい」

という方にとって、取り組みやすい方法の一つです。



自筆証書遺言の注意点


一方、自筆証書遺言にはいくつか注意したい点があります。


まず、法律で定められた方式に沿って作成する必要があります。

日付の記載方法や署名などに不備があると、遺言書の有効性が問題になる可能性があります。


また、内容そのものが曖昧だと、

相続発生後に

「この不動産を誰に相続させる意味だったのか」

「この財産は対象に含まれているのか」

と解釈を巡って問題になることもあります。


自宅で保管する場合には、

紛失する
家族に発見されない
誤って処分される
改ざんを疑われる

といったリスクも考えられます。


さらに、自宅などで保管されていた自筆証書遺言は、原則として相続開始後に家庭裁判所で検認の手続きが必要です。



自筆証書遺言書保管制度とは?


自筆証書遺言の保管に関する問題を軽減するため、

法務局には「自筆証書遺言書保管制度」があります。


この制度を利用すると、作成した自筆証書遺言書を法務局で保管してもらうことができます。


法務局で原本が保管されるため、遺言書を紛失したり、第三者によって破棄・改ざんされたりするリスクを抑えやすくなります。


また、法務局で保管されている自筆証書遺言については、相続開始後の家庭裁判所による検認が不要です。

これは相続人にとっても大きなメリットです。

ただし、法務局が遺言書の内容について「この内容なら希望どおり相続できる」「法的にすべて問題ない」と判断してくれる制度ではありません。


保管申請時には形式的な確認が行われますが、遺言内容の法的な有効性や実現可能性まで保証されるものではないため注意が必要です。



公正証書遺言とは?


公正証書遺言とは、遺言者が公証人に遺言の内容を伝え、公証人が法律上定められた方式に従って作成する遺言書です。


原則として証人2人以上の立会いのもとで作成します。

公証人が関与して作成するため、方式上の不備によって遺言が無効になるリスクを抑えやすい点が大きな特徴です。


また、作成された公正証書遺言の原本は公証役場で保管されます。

そのため、自宅で保管している遺言書のように紛失するリスクも抑えられます。



公正証書遺言のメリット


公正証書遺言の大きなメリットは、公証人が作成に関与することです。


遺言者の意思を確認しながら、法律上必要な方式に従って遺言書が作成されます。

そのため、自筆証書遺言と比べて形式的な不備が生じにくいという特徴があります。


また、公正証書遺言は家庭裁判所による検認が不要です。

相続開始後、遺言書を使用して相続登記や預貯金などの手続きを進めやすくなります。


原本が公証役場で保管されるため、紛失や改ざんに関するリスクを抑えられることもメリットです。



公正証書遺言の注意点


公正証書遺言を作成する場合には、公証人へ支払う手数料が必要です。

手数料は遺言の対象となる財産の価額や内容などによって異なります。

また、原則として証人2人の立会いが必要です。

誰でも証人になれるわけではなく、未成年者や推定相続人・受遺者、その配偶者や直系血族などは証人になることができません。

そのため、適切な証人を確保する必要があります。


さらに、公正証書遺言を作成する場合でも、

「どの財産を誰にどのように残したいのか」

という内容自体は事前に整理する必要があります。


公正証書にすれば自動的に最適な財産分けになるわけではありません。



自筆証書遺言と公正証書遺言の違い


自筆証書遺言と公正証書遺言は、どちらも遺言書ですが特徴が異なります。


自筆証書遺言は、自分で作成できるため手軽で費用を抑えやすい一方、形式や内容を自分で確認する必要があります。


公正証書遺言は、公証人が関与して作成するため形式上の不備が生じにくい一方、作成には費用や準備が必要です。


保管についても違いがあります。

自筆証書遺言を自宅で保管する場合には、自分で適切な保管方法を考える必要があります。

法務局の保管制度を利用すれば、法務局で保管してもらうことができます。

公正証書遺言の場合は、原本が公証役場に保管されます。


また、家庭裁判所の検認については、自宅などで保管されていた自筆証書遺言では原則必要ですが、法務局保管の自筆証書遺言と公正証書遺言では不要です。



どちらの遺言書を選べばよい?


「自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらが絶対に良い」

ということではありません。


財産の内容、家族関係、遺言を作成する目的などによって適した方法は異なります。

例えば、

財産関係が比較的シンプル
まずは自分で遺言を残したい
費用を抑えたい

という場合には、自筆証書遺言を検討しやすいでしょう。


一方で、

不動産が複数ある
相続人が多い
再婚している
前婚の子どもがいる
相続人同士の関係に不安がある
相続人以外へ財産を残したい
確実性をより重視したい

といった場合には、公正証書遺言を検討する意味が大きくなることがあります。


重要なのは、遺言書の種類を先に決めることではなく、

「誰に何を残したいのか」

を最初に整理することです。



不動産がある場合は遺言書の書き方に注意


遺言書で土地や建物について指定する場合には、不動産を正確に特定することが重要です。


普段使っている住所と登記簿上の不動産の表示は、必ずしも同じではありません。

例えば、一つの自宅の敷地だと思っていても、登記上は複数の土地に分かれていることがあります。

建物についても土地とは別の不動産として登記されています。


そのため、

「自宅を長男に相続させる」

といった表現だけでは、対象となる不動産について後から疑問が生じる可能性があります。


相続登記を円滑に進めるためにも、登記事項証明書などを確認しながら不動産を特定して遺言書を作成することが大切です。



遺留分にも注意が必要です


遺言書を作成すれば、どのような財産の分け方でも問題がなくなるわけではありません。


一定の相続人には「遺留分」という最低限の遺産取得に関する権利が認められています。


例えば、

「すべての財産を長男に相続させる」

という遺言書を作成した場合でも、他の相続人の遺留分を侵害していれば、相続開始後に遺留分侵害額請求が問題になることがあります。

遺言書自体が直ちに無効になるという意味ではありませんが、相続人間で金銭請求などが発生する可能性があります。


遺言書を作成するときは、自分の希望だけでなく、将来の相続人間の負担や遺留分についても考えておくことが重要です。



遺言執行者を指定することもできます


遺言書では、遺言執行者を指定することができます。

遺言執行者とは、遺言書の内容を実現するために必要な手続きを行う人です。


相続財産の内容や遺言の内容によっては、遺言執行者を指定しておくことで、相続発生後の手続きを進めやすくなる場合があります。


特に、

相続人以外への遺贈がある
財産が複数ある
相続人間の連絡が取りにくい

といった場合には、遺言執行者についても検討することがあります。


遺言書は財産の分け方だけではなく、「亡くなった後に誰が手続きを進めるのか」という点まで考えておくことが大切です。



付言事項を書くこともできます


遺言書には、法律上の財産処分とは別に「付言事項」を記載することがあります。


例えば、

なぜこのような財産の分け方にしたのか
家族への感謝
相続人同士で争ってほしくないという希望

などを文章として残すことができます。

付言事項そのものに、財産を取得させる遺言事項と同じ法的拘束力があるわけではありません。


しかし、遺言者の考えや気持ちを伝えることで、相続人が遺言内容を理解する助けになることがあります。


特定の相続人へ多く財産を残す場合などには、その理由を伝える意味もあります。



遺言書は一度作ったら変更できない?


遺言書は、一度作成したら一生変更できないものではありません。

家族関係や財産状況が変わった場合には、遺言書を見直すことができます。


例えば、

不動産を売却した
新しい不動産を購入した
配偶者が亡くなった
子どもが結婚した
孫が生まれた
相続させる予定だった人が亡くなった

など、時間の経過によって状況が変化することがあります。


遺言は原則として後に作成された内容が前の遺言と抵触する部分について優先するため、複数の遺言書が存在する場合には内容の確認が必要です。


一度作成して終わりではなく、数年ごとや大きな家族・財産の変化があったときに内容を確認することをおすすめします。



元気なうちに作成することが大切


遺言書を作成するためには、遺言能力が必要です。


そのため、「認知症になってから家族が代わりに遺言書を書いておけばよい」ということはできません。


本人が自分の意思に基づいて遺言内容を判断できるうちに作成することが重要です。


特に、高齢になってから公正証書遺言を作成する場合には、公証人が遺言者本人の意思を確認します。


将来の相続について考えることに抵抗を感じる方もいますが、遺言書は「亡くなる直前に作るもの」と考える必要はありません。


元気なうちに一度作成し、必要に応じて見直していくという考え方もできます。



司法書士へ相談するメリット


遺言書は自分で作成できますが、内容によっては司法書士へ相談することで将来の相続手続きを意識した内容に整理しやすくなります。


特に不動産がある場合には、

現在の登記名義
共有状態
抵当権の有無
相続登記を行う際の記載方法

なども確認しながら遺言内容を検討できます。


司法書士は公正証書遺言そのものを作成する公証人ではありませんが、財産関係を整理し、公正証書遺言の作成に向けた準備や公証人との手続きに関する支援を行うことができます。


自筆証書遺言についても、内容や不動産の記載方法などについて相談することができます。



公正証書遺言を作成する一般的な流れ


公正証書遺言を検討する場合、まず遺言の内容を整理します。


どの財産を誰に残したいのかを決め、不動産や預貯金などの財産資料、戸籍関係書類など必要な資料を準備します。


そのうえで公証人と内容を調整し、作成日を決めます。


作成当日は、原則として遺言者と証人2人が立ち会い、公証人が作成した内容を確認したうえで公正証書遺言が完成します。


具体的な必要書類や手続きは遺言内容によって異なるため、事前に確認することが重要です。



枚方市・京田辺市・松井山手周辺で遺言書を検討している方へ


枚方市、京田辺市、松井山手周辺で、

「実家を誰に相続させるか決めておきたい」

「子どもたちが相続で困らないようにしたい」

「自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらがよいか分からない」

「不動産があるので遺言書の書き方が不安」

と考えている方もいらっしゃると思います。


遺言書は、単に財産の分け方を書いておくものではありません。

相続発生後に、家族がどのような手続きをすることになるのかまで考えながら作成することが大切です。


野島一美司法書士事務所では、枚方市・京田辺市・松井山手を中心に、遺言書の作成や相続、不動産登記についてのご相談に対応しています。


自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらが自分に合っているのか分からないという段階からでも、ご相談いただけます。



よくある質問


Q. 自筆証書遺言と公正証書遺言はどちらがおすすめですか?


一律にどちらが良いとはいえません。

財産が比較的シンプルで費用を抑えたい場合には自筆証書遺言を検討しやすく、財産が多い場合や家族関係が複雑な場合、形式面の確実性を重視したい場合には公正証書遺言を検討する意味が大きくなることがあります。


Q. 自筆証書遺言はパソコンで作れますか?


遺言書の本文は、原則として本人が自書する必要があります。

一方、財産目録については一定の要件のもとでパソコンで作成した書面などを添付することができます。

その場合も、所定の署名・押印が必要です。


Q. 法務局に自筆証書遺言を預ければ内容も確認してもらえますか?


法務局では保管申請時に遺言書の外形的な確認が行われますが、遺言内容の法的な有効性や希望どおりの相続が実現できることまで保証する制度ではありません。

内容に不安がある場合には、作成前に専門家へ相談する方法があります。


Q. 公正証書遺言には証人が必要ですか?


原則として2人以上の証人が必要です。

ただし、推定相続人や受遺者、その配偶者や直系血族などは証人になることができません。


Q. 遺言書を作成した後に財産が変わった場合はどうすればいいですか?


財産や家族関係が変わった場合には、遺言書の見直しを検討できます。

不動産を売却した場合や、新たな財産を取得した場合などは、既存の遺言内容との整合性を確認することが大切です。


Q. 遺言書があれば相続登記は不要ですか?


いいえ。

遺言によって不動産を取得した場合でも、登記簿の名義を変更するためには相続登記など必要な登記手続きを行います。

遺言書は相続登記を不要にするものではなく、誰が不動産を取得するかを判断するための重要な資料になります。



遺言書は「種類」より「内容」を先に考えることが大切です


自筆証書遺言と公正証書遺言には、それぞれメリットと注意点があります。


自筆証書遺言は、自分で作成でき、比較的費用を抑えやすい方法です。

法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用すれば、紛失や改ざんなどのリスクを抑え、相続開始後の検認も不要になります。

一方、公正証書遺言は公証人が作成に関与し、原本が公証役場に保管されるため、形式面の確実性や保管面を重視する方に適した方法の一つです。


しかし、最も大切なのは、

「自筆証書遺言にするか」

「公正証書遺言にするか」

を最初に決めることではありません。

まず、

誰に何を引き継いでもらいたいのか
不動産をどうしたいのか
家族にどのような手続きをしてもらうことになるのか

を整理することが重要です。


その内容を踏まえて、自分に適した遺言書の方式を選びましょう。

枚方市・京田辺市・松井山手周辺で遺言書の作成を検討している方、不動産を含む相続について将来の準備をしておきたい方は、野島一美司法書士事務所までご相談ください。


現在の財産やご家族の状況を整理しながら、自筆証書遺言、公正証書遺言など、それぞれの特徴を踏まえた遺言書作成をサポートいたします。

----------------------------------------------------------------------

野島一美司法書士事務所

住所:大阪府枚方市藤阪東町3丁目5番14号3階

電話番号:072-808-0223

----------------------------------------------------------------------